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作家紹介

個性豊かな作品を生み出す匠人。

対談 望月 龍翠×小宮 康弘

人形の新しい魅力。~若い世代が受け継ぎ、創る。~

望月 龍翠×小宮 康弘

伝統が重んじられる人形の世界。それは、単に古いものにこだわり続けることではありません。常に新しいものを取り入れていく、アグレッシブなチャレンジ精神から、新しい伝統、時代にあった美意識が生まれるのです。
雛常の明日を担う、若い社長と人形師の対談から、人形の世界を変えていく、新しい風を感じてください。

人形は時代のニーズを反映して変化する。

小宮
望月先生の人形と出会って、もう何年になるんでしょうか。
望月
社長のお父さんが、僕の人形を気に入ってくださったのがきっかけでした。
小宮
僕は異業種からこの世界に入って日が浅いので、まだ人形を見る目を養っている最中です。でもそんな僕から見ても、望月先生の人形には何かしら人をひきつける魅力がある。だからお客様にも評判がいい
望月
そう言っていただけるとうれしいですね。二十年以上この世界でやっていますが、毎年、新作をつくる時はわくわくします。いつも、去年以上のものをつくってやるぞ、という気持ちで取り組んでいます。
小宮
伝統を重んじるのは大切なことですが、時代のニーズ、お客様のニーズとかけ離れてしまっては意味がないと思います。望月先生の人形は、そのあたりも心得えてつくられている。
望月
雛人形や五月人形は昔から何も変わらないように思われていますが、実は時代を反映して細かな部分が常に変化しています。バブルの頃は派手な衣装でシルエットも肩が張っていました。最近のものは衣装もシンプルで肩のラインもすっきりしています。衣装の色柄にしても、古典的なもの、パステルカラーなど、その時々の流行が影響しています。
小宮
流行をキャッチして人形に生かすセンスと技が、人形師の腕の見せどころなのでしょうね。
望月
そうです。基本的なテクニックは年数を重ねれば身につきますが、立ち振る舞いの美しい人形をつくるのには、やはり努力とセンスが必要です。いいものをたくさん見て、試作を重ねて。手のしぐさ、衣装のボリューム、左右のバランス。細かく挙げればきりがない。
小宮
時代のニーズを反映しつつ、ベーシックな部分の美しさや気品を保ち続ける。そんな人形の理想形を、望月先生の人形に重ねています。

お客様と向き合いながら、よりよい人形をつくっていく。

小宮
僕はこの世界では駆け出しの若い経営者ですが、だからこそできる経営、サービスがあると思っています。初節句で人形を購入されるお客様は僕と同世代。だからお客様のライフスタイルについて自然と共感できる部分が多く、それが人形を提案する上での強みになっています。
望月
お客様と向き合わなくては、いい人形はできません。人形師が自分の作品に自信を持つのはいいことですが、それは常にお客様と共にあるべきものです。
小宮
少子高齢化とともに、人形の世界も変化していくと思います。得に最近は価格が二極化し、高くてもいいものをというお客様と、安くていいというお客様の考え方の違いが鮮明になってきています。僕は、望月先生が丹精込めてつくる人形を自信を持って販売させて頂きます。人形師の方にもお客様にも納得していただける価格設定で、いい人形を多くの人にお届けしたいと思っています。子どもの数が減るこれからは、本当にいいものを扱う店だけが、生き残っていくのではないでしょうか。
望月
雛常さんは、人形の他に古布や小物にも力を入れていらっしゃるから、いつでも気軽にお店に立ち寄れるという声をよく聞きます。そういうオープンな感覚も、これからの人形店には必要だと思います。これからも雛常さんと一緒に、常に新しい発想で素晴らしい人形をつくっていきたいですね。

プロフィール

【株式会社 京雛/人形師 望月 龍翠】

1964年生れ。
家業を継いで18歳から雛人形師をめざす。
2003年、経済産業大臣指定「駿河雛人形」伝統工芸士の認定を受ける。
伝統工芸士の中では、若手の実力派。

株式会社 京雛/人形師 望月 龍翠

【雛常 代表取締役社長 小宮 康弘】

1976年生れ。
コンピュータ関係の仕事を経て、2003年9月、雛常の初代社長に就任。
若い感性を生かし、お客様重視の視点で、これからの時代にふさわしい人形の企画提案に力を注いでいる。

雛常 代表取締役社長 小宮 康弘